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龍ノ宮 朔 & 龍ノ宮 一姫
交わした言葉は、それが最後だった。


一「ひさしぶりね、朔。またご本を持ってきてくれたの?…あっ」
朔「ああ、遅くなったな。ほら、異国の鳥獣図鑑。読みたいと言っていたろ?」
一「…朔、その格好、殿方みたい。でも、似合ってるわ」
一「ご本、こんなにたくさん…。いいの?」
朔「(少し困ったように)はは…有難う。うむ、暫く此処へ来られなくなるからね。多めに見つけてきたよ」 一「――――…。そう。忍務?」
朔「少し、野暮用、でな」
一「(何かを察したよう、俯く)…わかったわ。私、待ってるから」
朔「(一姫を抱きしめ)一姫。私は、大切なものを取り戻しに往く。君も…何より大切なものを見つけたら…何を犠牲にしても、その意思を貫いてくれ。後悔しないように」
朔「私は――私の為だけに。大切なものを奪うさ」
そう告げ、彼女はいなくなった。

それから、およそ十年の歳月が過ぎ。はらはらとガラスの音が散る。

「…僕の為だけに、キミを奪うよ」青年は薄く笑った。



                ――【さらに闘う者たち】【】へ続く
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